『不時着する流星たち』

『不時着する流星たち』

小川洋子

角川書店

 


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まずはこのタイトル。このタイトル以外にふさわしいものがあるものか、とわたしは思う。

実在する人たちからインスパイアされて生まれた小川洋子さんの世界。

少し歪で危うげで、でも小さな光を放っているのだから正に不時着した流星たちなのだ。

 

この世の中には真実の出来事の影に、思わぬ物語が隠れている。それは表裏一体で、小川洋子さんのような人には見えるのだ。

私たちは、小川洋子さんを通して初めて踏み入れることのできるうっとりと美しい世界。

 

一番心に残ったのは『手違い』のヴィヴィアン・マイヤー。映画にもなった不思議なナニー。彼女は住み込みのナニーとして過ごしながら、膨大な写真を撮り続けた。けれど一枚として発表することはなかった。

そこから見つけ出された光が、私のお気に入りの流星となった。

 

小川洋子さんは『ことり』『ミーナな行進』と、まだ少ししか読めていないけれど、私はすっかり彼女の虜になっている。